デューデリジェンス(Due Diligence)とは、出資やM&Aなどを行う前の検討する段階で、対象となる企業の財務状態や過去の取引に関する契約内容の法的リスクなどを精査し、企業価値を調査することです。同様の調査に「信用調査」がありますが、デューデリジェンスではそれよりも広く、深い調査を行います。

出資対象となる企業の過去から現在まで、さらには将来にわたって、事業の状況や財務、法務、人事、組織、市場環境など多岐にわたる範囲について、調査を行います。

また先方から提出された資料だけでは信頼性が低いと感じる場合は、実際に相手企業の現場に訪問して各帳票類を確認したり、現場の複数の担当者から状況を確認するなど、臨機応変な対応が求められます。

デューデリジェンスの目的は主に3つの内容に分けることができます。

(1)企業価値を正しく評価する

出資を行う際には、出資総額はもとより、1株あたりの株価についても決定することになります。株価の算定については、現在の時価純資産から株価を求める方法もあれば、将来価値を反映してDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法を活用する場合もあるので、まずは相手先の企業の株価算定の方法とその根拠について確認をした上で、その算出根拠が妥当かどうかを判断します。

(2)事業上のシナジー(相乗効果)を確認する

出資による事業上のシナジーは、シェア拡大、ノウハウの高度化、従業員の能力向上など様々です。従って、まずは出資の目的を整理し、その上で、どの程度の効果が得られそうかを評価するとよいでしょう。またシナジーについて評価を行う場合には、金額で算定することで効果を客観的に判断することができます。つまり出資を行わずに自社の努力で目的を達成した場合と、出資をして目的を達成した場合の価格にどれだけ差があるのかを確認することで、出資の経済効果を把握することができます。

(3)事業を統合する際の注意点・問題点を把握する

単なる出資の枠を越えて、M&Aにより事業を統合する場合は、企業間の相性が合わなかったり、実際の事業方針や設備・システムの統合が困難だったら、シナジーは生まれません。企業間の主導権争いに発展し、白紙撤回せざるを得なくなることや、統合したものの相手先の従業員が次々に退職し、当初見込んでいた事業統合のメリットが得られないことも考えられます。