企業が株式や債券などを発行して、投資家から資金を直接調達する証券取引。間接金融と違い、介在者がいないため「直接」金融と呼ばれます。

一般に急成長を狙うベンチャー企業では、毎年獲得した収入だけでは、必要な投資資金を確保することはできません。したがってベンチャーキャピタル(VC)などの出資者から多額の出資を受け入れて資金需要を満たしていくことが必要になります。

VCとは有望な未上場ベンチャー企業に対して投資を行ない、上場させてキャピタルゲインを得たり、他のファンド等に転売して利益を得る企業のことです。出資を受けるメリットについてまとめると以下の3点になります。

(1)潤沢な資金が得られる

当然のことであるが、最大のメリットは外部からの潤沢な資金を得られることです。銀行からの融資(間接金融)という手段もありますが、通常融資には担保が必要になります。そのため調達できる金額も多くはありません。また当然ながら利息と元本返済も必要です。出資であればそれらは必要ありません。出資者はベンチャー企業成長後のキャピタルゲインを目的にリスクをとって出資するからです。

(2)信用力が得られる

いかに優れたビジネスモデルを持った起業であっても、起業直後の会社には何の信用力もありません。VCの多くは最初のVCからの出資が決まると、信用力が高まり、「我が社も出資したい」という流れとなります。つまり最初の出資が呼び水となり、さらなる出資が容易になる可能性が高いのです。またVCがついたことによる営業面でのメリットもあります。最初は門前払いにしていた営業先も「VCが認めたならば」と話を聞いてくれることが多くなります。さらには新たな人材を採用する際も有利になります。応募者は「VCが出資しているということは将来急成長するかもしれない」という期待感を持つからです。

(3)管理体制などの整備支援が得られる

VCの中には、たんにお金を出すだけではなく、経営管理面についても指導してくれるところもあります。これは経営に口を出すという「余計なお世話」ではなく、経理、財務、法務、労務など経営管理について、より良い方向に導いてくれるという意味です。一般に創業当初のベンチャー企業はビジネスモデルは秀逸でも、それを実現するための経営管理全般が弱いことが多いです。立ち上げ直後の少人数のうちは何とか回っていても、ある程度規模が大きくなると経営管理面の不備から空中分解してしまうこともあります。経験豊富なVCのスタッフがベンチャー企業に入り込んで親身なアドバイスをしてくれることで、このような事態を避けることができます。