企業組合は中小企業協同組合法で定められた組合法人のひとつで、仲間が集まってひとつの企業のように活動できる組合です。各自が組合員となって資本と労働を持ち寄り、自らの働く場を創造するための組織です。通常の会社のようなピラミッド構造ではなく、独立志向型のメンバーが集まって自由に事業を行うのに向いています。

企業組合はこれまで企業などの法人は出資できませんでしたが、中小企業挑戦支援法の施行によって、企業や投資事業有限責任組合の出資も認められるようになりました。これによって、個人レベルでは調達できなかった資金や技術などを取り入れることが可能になり、事業の可能性が大きく広がりました。(企業などの参加は全組合員の4分の1まで)

企業組合のメリットとしては以下のような点があげられます。

(1)自らが事業開始にあたって必要と判断する資金で始められる。

(2)それぞれの出資額を限度とした有限責任制が適用される

(3)株式会社の株主とは異なり、出資額の多い少ないに関係なく、議決権が平等に与えられるため、民主的な運営が確保される

(4)NPO法人と異なり出資者である組合員に配当を行うことができる

(5)助成金などの公的支援が受けやすい

企業組合を設立するためのハードルとして、「都道府県の認可が必要であること」があげられますが、国が積極的に設立を後押ししているということもあり、スムーズに認可されることが多いようです。メリットの⑤であげた公的支援が受けやすいという点は、この都道府県の認可を受けていることから来ています。

また企業組合設立後、環境の変化などによって組織形態を変更したい場合は、組合員の3分の2以上の議決を持って、株式会社に組織変更することができます。

このように企業組合は会社のように出資者と従業員という関係ではなく、参加者が独立した形で資本・労働を持ち寄って働く場を作るという点が特徴になっています。対等な関係で信頼できる仲間を集めることができれば、起業の際の有力な選択肢のひとつとなります。