ストックオプションとは、自社の役員や社員などに、自社株をあらかじめ定められた価格および数量で一定期間購入できる権利を付与する仕組みのことです。

たとえば未上場企業に勤めるＡさんが今後一定期間内であれば、自社株を一株あたり３００円（行使価格）で１万株まで購入する権利を与えられたとします。

その後会社は順調に成長し、見事にＩＰＯ（株式上場）に成功し、株価は上昇を続け、２０００円をつけたとします。

その際にＡさんが権利行使する、つまり３００円×１万株＝３００万円で自社株を取得し、それを即座に市場で売却すれば、２０００円×１万株（市場売却価格）－３００万円（購入価格）＝１７００万円（キャピタルゲイン）の利益を得ることができます。

ストックオプションは創業間もなく、十分な給与を払えないベンチャー企業などで多く採用されています。今は給与を十分に支払えないが、会社が将来上場した際にストックオプションを行使すれば高額のキャピタルゲインが得られることが、社員のモチベーションにつながり、優秀な人材の採用・流出防止がしやすくなるからです。

このようにストックオプションは会社にとっても社員にとっても双方に有益な制度ですが、会社側から見ると、権利を行使し、莫大な利益を得た優秀な社員が、直ぐに退職して、新たにストックオプションがもらえそうな会社に転職してしまうというリスクもあります。また社員側から見れば、自分がいくらがんばっても会社が上場できないといった不満を生む恐れもあります。